テレビアンテナの無線化は、アンテナの電波そのものを飛ばすのではなく、チューナーで受信した映像をWi-Fiなどで別の部屋のテレビやモニターへ送る方法です。工事なしで始められる手軽さがある一方、映像が途切れたり、少し遅れて映ったりすることがあります。毎日しっかり見る部屋なら、テレビ端子を増やす工事(1か所あたりおおむね1万円〜3万円程度)のほうが安定して映ります。
「端子のない部屋でとりあえず見たい」なら無線化、「家族が毎日見る部屋に置きたい」なら端子の増設、と使い方で選ぶのが失敗しにくい考え方です。
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テレビアンテナの無線化とはどういう仕組み?
屋根や壁のアンテナで受けた電波は、ケーブルを通って各部屋の壁のテレビ端子に届きます。「無線化」と呼ばれる方法は、このケーブルの代わりに電波を空中へ飛ばすものではありません。アンテナ端子のある部屋でいったんチューナー(テレビやレコーダーの受信部)が放送を受け、それを映像データに変えてWi-Fiなどで別の部屋へ送る仕組みです。
そのため、無線化しても受信そのものはアンテナとケーブルに頼っています。アンテナの向きがずれていたり、ケーブルが傷んでいて受信レベルが低かったりすると、無線で送った先の映像も乱れます。無線化を考える前に、端子のある部屋のテレビが問題なく映っているかを確かめておきましょう。
アンテナ線をそのまま空中に飛ばす機器は家庭では使わない
ネット上では「アンテナの電波を無線で飛ばす」という言い方を見かけますが、家庭向けに売られている機器は、どれも受信したあとの映像を送るタイプです。テレビの電波をそのまま増幅して部屋の中に飛ばすような使い方はできないと考えておきましょう。
テレビアンテナを無線化する方法は大きく3つ
端子のない部屋でテレビを見るための無線の方法は、主に次の3つです。家にある機器やネット環境によって向き不向きがあります。
| 方法 | 仕組み | 向いている人 |
|---|---|---|
| チューナー部とモニター部が分かれたテレビ | 端子のある部屋に置いたチューナー部から、モニター部へ無線で映像を送る | テレビを買い替える予定がある人・部屋を移動しながら見たい人 |
| レコーダーの宅内視聴機能を使う | アンテナにつないだレコーダーから、家のWi-Fiを通してスマホ・タブレット・対応テレビで見る | 対応するレコーダーをすでに持っている人 |
| ネット配信で見る | 放送局の公式の配信サービスやアプリを、Wi-Fiにつないだテレビやスマホで見る | 見たい番組が限られている人・アンテナを使わずに済ませたい人 |
1. チューナー部とモニター部が分かれたテレビ
テレビメーカーからは、チューナー部とモニター部を分けて無線でつなぐタイプのテレビが出ています。チューナー部をアンテナ端子のある部屋に置けば、モニター部は端子のない部屋でも使えます。持ち運べるサイズの製品が多く、浴室やキッチンで見たい人にも選ばれています。どの放送(地デジ・BS・110度CS)を受信できるかは製品ごとに違うので、購入前にメーカーの仕様を確認してください。
2. レコーダーの宅内視聴機能を使う
ネットワーク機能のあるレコーダーの中には、放送中の番組や録画した番組を、家のWi-Fiを通して別の部屋のスマホやタブレット、対応テレビで見られるものがあります。手持ちのレコーダーが対応していれば、新しく買い足す機器が少なく済みます。BSアンテナにつながったレコーダーならBS放送も見られることがありますが、対応する放送や同時に見られる台数は機種によって異なります。
3. ネット配信で見る
見たい番組が決まっているなら、放送局の公式の配信サービスで足りることもあります。アンテナを使わないので配線は不要ですが、配信されない番組もあり、地上波の放送と同じようにすべてのチャンネルを見られるわけではありません。
無線化のデメリットと注意点
無線化は手軽な反面、ケーブルでつないだテレビと同じようには映らないことがあります。始める前に知っておきたい点をまとめます。
映像が途切れたり止まったりすることがある
無線の通信は、壁や床、家具、ほかの電子機器の影響を受けます。メーカーの取扱説明書でも、電波の状態によって映像が途切れたり止まったりすることがあると案内されています。特に2.4GHz帯のWi-Fiは、電子レンジやコードレス電話を同時に使うと接続が切れることがあるため、5GHz帯に対応したルーターを使うよう勧めているメーカーもあります。金属製のドアやコンクリートの壁をはさむ場所も、電波が届きにくくなります。
放送より少し遅れて映る
映像をデータに変えて送るぶん、ケーブルで見るテレビより少し遅れて映るのが一般的です。ふだんの視聴では気にならないことが多いものの、スポーツ中継をほかの部屋のテレビと同時に見ると、ずれに気づくことがあります。
BS・CSや4K放送に対応しているかは機器しだい
無線で見られる放送の種類は、使う機器によって違います。地デジは見られてもBS・CSは見られない、4K放送は送れないといった製品もあります。家でBS・CSを契約している場合は、無線の先でもそれを見たいのかを決めてから機器を選びましょう。
アンテナ側の受信が弱いと無線でもうまく映らない
先に書いたとおり、無線化はアンテナで受けた電波を送る仕組みです。もとの部屋でブロックノイズやE202などのエラーが出ているなら、無線化では解決しません。この場合は、アンテナの向きやケーブル、分配器、ブースターなど受信の経路を点検してもらう必要があります。2台目のテレビだけ映らないときの確認の順番は、テレビの2台目が映らない原因と直し方でまとめています。
無線化とテレビ端子の増設はどっちがいい?費用と安定性の比較
端子のない部屋でテレビを見る方法は、無線のほかに「テレビ端子を増やす」「アンテナ線を延ばす」という配線の方法があります。費用と映りの安定性を比べると、次のようになります。
| 方法 | 費用の目安 | 映りの安定性 | 工事 |
|---|---|---|---|
| 無線化(専用テレビ・レコーダーの宅内視聴) | 機器の購入費のみ(製品により大きく異なる) | 通信環境しだいで途切れることがある | 不要 |
| アンテナ線を延ばす(露出配線) | 自分でやるなら部材代のみ・業者なら8,000円〜20,000円程度 | 安定 | 簡易な配線 |
| テレビ端子の増設(壁の中を通す隠蔽配線) | 10,000円〜30,000円程度 | 安定 | 必要 |
| 端子の増設と同時にブースターを設置・交換 | 上記に加えて15,000円〜45,000円程度 | 安定 | 必要 |
費用は、アンテナ工事・テレビ配線工事に関する複数の情報をもとにした一般的な目安です。家の構造や配線の距離、作業する階、出張費の有無で変わるため、正確な金額は現地を見たうえでの見積もりで確かめてください。
無線化が向いているのはこんなとき
たまに見るだけの部屋や、浴室・キッチンなど場所を変えて見たいとき、賃貸で壁に穴をあけられないときは、無線化が手軽です。テレビを買い替える予定があるなら、チューナー部とモニター部が分かれた製品を選ぶ方法もあります。
テレビ端子の増設が向いているのはこんなとき
子ども部屋や寝室など毎日テレビを見る部屋、大きな画面で見たい部屋、BS・CSや4K放送も見たい部屋は、ケーブルでつなぐほうが安心です。一度工事をすれば、通信環境に左右されずに見られます。増設の方法や費用のくわしい内訳は、テレビ端子の増設費用はいくら?で解説しています。近くの部屋の端子からケーブルを延ばすだけで足りる場合は、アンテナ線の延長方法も確認してみてください。
※工事後のチャンネル設定まで対応
無線化を試す前に確認したいこと
機器を買ってから「うまく映らない」とならないよう、次の点を先に確かめておくと安心です。
1. 端子のある部屋で問題なく映っているか
もとの部屋でエラーやノイズが出ていないか、テレビのアンテナレベル(受信レベル)の画面で数値が低すぎないかを見ておきます。
2. 見たい部屋までWi-Fiが届いているか
スマホを持って見たい部屋へ行き、動画が途切れずに再生できるかを試すと、おおよその目安になります。届きにくい場合は、ルーターの置き場所を変えたり中継器を使ったりする方法があります。
3. 見たい放送に機器が対応しているか
地デジだけでよいのか、BS・CSや4K放送も見たいのかを決め、メーカーの仕様で対応しているかを確認します。
4. 家族が同時に何台で見るか
宅内視聴は、同時に見られる台数や、録画中に使えるかどうかに制限がある機種もあります。使い方に合っているかを確認しておきましょう。
ここまで確かめて無線では難しそうなら、配線で端子を増やす方法に切り替えたほうが、あとから機器を買い直すより結果的に安く済むこともあります。
テレビの配線工事を相談できるアンテナ工事業者
端子の増設やアンテナ線の配線は、壁の中の構造や受信レベルを見ながら進める作業です。業者を選ぶときは、見積もりが無料か、見積もり後に追加料金が出ないか、工事後の保証があるかを確認しましょう。
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まとめ
テレビアンテナの無線化は、受信した映像をWi-Fiなどで送る方法です。手軽に始められますが、毎日見る部屋では配線のほうが安定します。
- 無線化はアンテナの電波を飛ばすのではなく、受信した映像を送る仕組み
- 方法は専用テレビ・レコーダーの宅内視聴・ネット配信の大きく3つ
- 映像の途切れや遅れがあり、BS・CSや4Kの対応は機器しだい
- もとの部屋の受信が弱いなら、無線化の前にアンテナ側の点検が先
- 毎日見る部屋は端子の増設(1か所1万円〜3万円程度)が安心
「無線で足りるのか、端子を増やしたほうがいいのか」は、家の配線と受信レベルを見てもらうと判断しやすくなります。まずは無料の見積もりで、工事した場合の総額を確かめてみましょう。
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