1本のテレビアンテナにつなげるテレビの台数に、決まった上限はありません。分配器を使えば2台・4台・6台と分けられますが、分ける数が増えるほど1台あたりの電波は弱くなります。電波が十分に強い地域なら2〜4台は分配器だけで映ることが多く、5台以上や電波が弱めの地域ではブースター(電波を強める機器)で補うのが一般的です。
台数を増やすときの工事費は、分配器の交換だけなら5,000円〜15,000円程度、ブースターの設置まで含めると15,000円〜45,000円程度が目安です。何台までブースターなしで映るかは家の電波の強さで変わるため、受信レベルを測ってから決めるのが確実です。
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テレビアンテナにつなげる台数に決まった上限はない
アンテナが受けた電波は、ケーブルを通って家の中の分配器に入り、そこから各部屋の壁の端子へ分けられます。分配器には2分配・3分配・4分配・6分配・8分配などがあり、出口の数だけテレビをつなげます。分配器の出口が足りなければ大きいものに替えればよいので、「アンテナ1本で何台まで」という決まりはありません。
ただし、分配器は電波を増やす機器ではなく、入ってきた電波を出口の数で分け合う機器です。4分配なら4台で、6分配なら6台で同じ電波を分けるので、台数が多いほど1台に届く電波は弱くなります。テレビが映るかどうかを決めるのは台数そのものではなく、分けたあとの電波が、テレビが受信できる強さに足りているかです。
電波の強さは家ごとに違う
同じ4台でも、送信所や中継局から近く電波が強い家では分配器だけで問題なく映り、電波が弱い地域や周りに高い建物がある家では1〜2台目から映りが不安定になることもあります。屋根の上の八木アンテナか、壁に付けるデザインアンテナかによっても受ける電波の強さは変わります。
ケーブルの長さでも電波は弱まる
電波は分配器だけでなく、ケーブルを通る間にも少しずつ弱まります。2階の奥の部屋のように分配器から遠い端子や、古い細いケーブルが使われている部屋ほど、ほかの部屋より映りが悪くなりやすくなります。
家のどこに分配器が入っているか、いま何分配になっているかは、屋根裏や壁の中に隠れていて外から分からないことがほとんどです。テレビを増やす前に、今の配線で何台まで映るかを見てもらうと、余計な部品を買わずに済みます。
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分配数ごとに電波はどれくらい弱くなる?
分配器で電波が弱まる量を「分配損失」といい、dB(デシベル)で表します。数字が3dB大きくなるごとに、電波の強さはおよそ半分になると考えると分かりやすいです。
下の表は、パナソニックの4K8K対応の分配器(1端子通電型)の仕様に載っている分配損失の上限値です。地デジはUHFの帯域、BS・CSや4K8K衛星放送はもっと高い周波数の帯域を使います。
| 分配数 | 地デジの帯域(222〜770MHz) | BS・CSの帯域(1489〜2150MHz) | 4K8K衛星の高い帯域(2681〜3224MHz) |
|---|---|---|---|
| 2分配 | 4.3dB以下 | 6.0dB以下 | 7.3dB以下 |
| 3分配 | 6.5dB以下 | 9.0dB以下 | 11.8dB以下 |
| 4分配 | 8.0dB以下 | 11.0dB以下 | 13.3dB以下 |
| 5分配 | 9.7dB以下 | 12.5dB以下 | 16.3dB以下 |
| 6分配 | 11.0dB以下 | 13.8dB以下 | 17.8dB以下 |
| 8分配 | 12.5dB以下 | 16.2dB以下 | 19.3dB以下 |
マスプロ電工の4K8K対応の屋内用分配器でも、地デジの帯域で2分配は4dB、4分配は7.6dBとされていて、メーカーが違ってもおおむね同じくらいの値です。
表から分かるのは、2分配でも電波は半分以下になり、4分配では2分配のさらに半分ほどになることです。6分配や8分配では地デジでも10dB以上弱まり、BS・CSや4K8K衛星放送ではさらに大きく弱まります。台数を増やすほど、衛星放送のほうが先に映りにくくなるということです。
ブースターが要るのは何台から?境目の目安
ブースターなしで何台まで映るかは、アンテナが受けている電波の強さしだいなので、一律に「何台から必要」とは言えません。そのうえで、一般的な戸建ての目安をまとめると次のようになります。
| つなぐ台数 | 電波が強い地域 | 電波がふつう〜弱めの地域 |
|---|---|---|
| 1〜2台 | 多くの場合ブースターは不要 | 多くの場合は不要だが、映りが悪ければ検討 |
| 3〜4台 | 不要なことが多い | ブースターが必要になることが多い |
| 5台以上 | ブースターを検討する | ほぼブースターが必要 |
あくまで目安で、アンテナの種類や向き、ケーブルの長さ、周りの建物によって変わります。新築で最初から端子を5〜6か所以上作る家では、ブースターを付ける前提で配線を組むことが多くなります。
ブースターを入れる位置も大事
ブースターは、分配器で電波を分ける前に入れるのが基本です。分けたあとの1本だけを強めても、ほかの部屋は弱いままだからです。屋根の上や屋根裏、分電盤の近くなど、アンテナから分配器までの間に取り付けます。
強くしすぎても映らなくなる
電波は弱すぎても強すぎても映りが悪くなります。電波が強い地域で必要以上に強いブースターを入れると、かえってE202などのエラーが出ることがあるため、受信レベルを測りながら調整する必要があります。ブースターが要るかどうかの判断と設置費用は、テレビのブースターは必要か?いらない家との違いと設置費用を解説で詳しく解説しています。
BS・CSも見るなら台数を増やすときに気をつけること
地デジだけなら映るのに、台数を増やしたらBS・CSだけ映らなくなった、ということはよくあります。衛星放送は周波数が高く、分配器やケーブルでの弱まり方が地デジより大きいためです。
分配器の通電の方式を確認する
BS・CSアンテナは、テレビやレコーダー、またはブースターの電源部から電気を送ってもらって動きます。分配器には、どの出口からでも電気を通せる「全端子通電型」と、決まった1つの出口からしか通せない「1端子通電型」があります。BSを見る部屋が複数ある家で1端子通電型を使うと、電気を送っているテレビの電源を切ったとたん、ほかの部屋でもBSが映らなくなることがあります。
4K8K放送を見るなら対応の部品にそろえる
BS・CSの4K8K放送は、さらに高い周波数を使います。分配器・ケーブル・壁の端子のどれか1つでも古い規格のものが残っていると、その部屋だけ4K放送が映らないことがあります。台数を増やす工事は、部品を4K8K対応にそろえるよい機会です。分配器と分岐器の違いや部品の選び方は、分配器と分岐器の違いとは?戸建てでの使い分けと交換費用の目安でも紹介しています。
テレビを増やす前に自分で確認できること
新しいテレビをつなぐ前に、今の状態を少し確認しておくと、どんな工事が必要かが見えてきます。屋根の上や屋根裏に上がる必要はありません。
1. 今あるテレビのアンテナレベルを見る
テレビの設定メニューには、受信の強さを数字で表示する画面(アンテナレベル・受信強度など)があります。今つないでいるテレビの数値が十分に高いか、ぎりぎりかを見ておくと、台数を増やしたときに足りなくなりそうかの見当がつきます。部屋ごとに数値を比べると、どの部屋が弱いかも分かります。
2. 空いている端子がないか確かめる
使っていない部屋に壁の端子があれば、すでに分配されている可能性があります。その場合は、ケーブルをつなぐだけで映ることもあります。分配器の空いた出口にダミー抵抗(終端抵抗)が付いていないと映りが乱れる原因になるので、空きの出口があるかどうかも工事のときに見てもらいましょう。
3. 分配器を何段も重ねない
テレビの近くで市販の2分配器を足し、その先にさらに分配器をつなぐと、電波がどんどん弱まります。2台目・3台目を足したら映らなくなったときは、分配器の重ねすぎが原因のことがあります。分配器を足すより、家の中心にある分配器を出口の多いものに1つで替えるほうが電波のロスは少なくなります。
二世帯住宅のように端子が多い家でアンテナを1本にするか2本にするかの考え方は、二世帯住宅のテレビアンテナは1本で足りる?分配や配線の決め方と費用で紹介しています。
テレビの台数を増やす工事の費用相場
台数を増やすための工事は、今の配線と電波の強さによって必要な作業が変わります。下の表は、アンテナ工事の複数の情報をもとにした一般的な目安です。
| 工事の内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 分配器の交換・分配数を増やす | 5,000円〜15,000円程度 |
| テレビ端子の増設(1か所) | 8,000円〜15,000円程度 |
| ブースターの設置(本体+電源部) | 15,000円〜45,000円程度 |
| 受信レベルの調査・配線の手直し | 5,000円〜15,000円程度 |
| 家全体のテレビ配線の工事 | 15,000円〜35,000円程度 |
壁の中にケーブルを通す作業や、屋根裏の奥での作業、4K8K対応の部品への交換が加わると、そのぶん費用が上がります。見積もりのときは、何分配の分配器を使うのか、ブースターが必要と判断した理由、部品代・作業費・出張費がすべて含まれているかを確認しましょう。工事のあとに全部の部屋で受信レベルを測って確かめてくれるかも、業者選びのポイントです。
テレビの増設におすすめのアンテナ工事業者
何台までブースターなしで映るか、どこに分配器やブースターを入れるのがよいかは、各部屋の端子で受信レベルを測らないと判断できません。今の配線を調べたうえで、必要な工事と費用を説明してくれる業者に相談しましょう。見積もりを見てから依頼するかどうか決められます。
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まとめ
1本のテレビアンテナにつなげる台数に上限はありませんが、分配するほど1台あたりの電波は弱くなります。何台まで映るかは家の電波の強さしだいで、足りなければブースターで補います。
- 台数の上限はなく、分配器を替えれば出口は増やせる
- 2分配で電波は半分以下、4分配でさらに半分ほどになる
- BS・CSや4K8K放送は地デジより先に映りにくくなる
- 電波がふつう〜弱めなら3〜4台からブースターを検討する
- ブースターは分配器の手前に入れるのが基本
- 分配器の交換は5,000円〜15,000円程度が目安
今の配線で何台まで映るか、ブースターが必要かは、受信レベルを測ってみないと分かりません。テレビを増やす予定があるなら、工事の前にまずは見積もりだけでも相談してみましょう。








