テレビの受信品質が低いときは、電波そのものは届いていても、雑音(ノイズ)が混じっている、建物で反射した電波が重なっている、ブースターで強くしすぎている、ケーブルや分配器が傷んでいる、のどれかで電波が「汚れて」いる状態です。アンテナレベルの画面で「信号強度」は足りているのに「信号品質」だけが低いなら、強さではなく質の問題なので、ブースターを足しても良くならないことがあります。部屋の配線を見直しても家じゅうのテレビで品質が低いままなら、アンテナの向きやブースターの調整が必要です。
まずは自分のテレビの画面でどちらの数値が低いのかを確かめると、原因をかなり絞り込めます。
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テレビの受信品質とは?電波の強さとの違い
テレビのアンテナレベルの画面には、機種によって「信号強度」と「信号品質」のように2つの数値やバーが並んでいることがあります。この2つは似ているようで、見ているものがまったく違います。
強さは「どれだけ届いているか」、品質は「どれだけきれいか」
ソニーのサポート情報では、BS・110度CSのアンテナレベルの「信号強度」は受信している信号の強さを、「信号品質」は電波に対する外からのノイズの影響を表すと説明されています。パナソニックの取扱説明書でも、アンテナレベルとして表示される信号品質の数値は、電波の強さではなく質(信号と雑音の比率)を表すとされています。
デジタル放送は、電波が強くても雑音や乱れが多いと、テレビが映像のデータを正しく読み取れません。品質がある線を下回ると、映像が止まる、ブロックノイズが出る、真っ黒になってエラーが出る、と急に症状が出るのが特徴です。
メーカーによって画面の名前と目安が違う
受信品質がどの名前で、どのくらいなら足りているかはメーカーや機種で違います。公式のサポート情報で確認できたものをまとめると次のとおりです。
| メーカー | 画面の表示 | 公式の目安 |
|---|---|---|
| パナソニック(ビエラ) | アンテナレベル(信号品質) | 地デジは44以上、BS・CSは機種により50以上または54以上 |
| ソニー(ブラビア) | 信号強度と信号品質のバー | 両方のバーが緑色の範囲 |
| シャープ(アクオス) | 受信強度(アンテナレベル) | サポートページの案内では60以上(機種により異なる) |
数値の物差しはメーカーごとに違うので、別のメーカーのテレビと数字だけを比べても意味がありません。ここにないメーカーや機種は、型番で取扱説明書を開いて目安を確かめてください。
強さと品質の組み合わせで原因の場所が分かる
2つの数値が出る機種なら、どちらが低いかで考える方向が変わります。
| 画面の状態 | 考えられること |
|---|---|
| 強さも品質も低い | 電波が足りない。アンテナの向きのずれ、断線、ブースターの電源切れ |
| 強さは十分で品質だけ低い | 雑音や反射が混じっている。接続部の不良、ブースターの強すぎ、建物の反射 |
| 強さが振り切れていて品質が低い | 電波が強すぎる。送信所に近い家やブースターの利得の上げすぎ |
| 品質が日によって大きく上下する | 受信の余裕が少ない。雨や風、近くの家電の影響を受けやすい |
強さも品質も低いときは、まずアンテナレベルが低い原因と対処法の手順で電波が届いていない場所を探すのが近道です。この記事では、強さはあるのに品質が足りないケースを中心に見ていきます。
受信品質が低くなる主な原因
受信品質を下げるのは、電波の量ではなく、電波に混じる「よけいなもの」です。戸建てでよくある原因は次の5つです。
接続部やケーブルからの雑音の入り込み
アンテナ線の接栓がゆるんでいる、ケーブルの外側の被覆が傷んでいる、古い細いケーブルを使っているといった場合は、すき間から家電などの雑音が入り込みます。屋外の接続部に雨水が入ってさびている場合も同じです。強さはそれほど落ちないのに、品質だけが下がりやすい原因です。
建物や山で反射した電波との重なり
送信所から直接届く電波と、近くのビルやマンションの壁で跳ね返ってきた電波が少し遅れて重なると、テレビはデータを読み取りにくくなります。近所に大きな建物が建ってから映りが悪くなった、特定のチャンネルだけ品質が低い、という場合はこの原因が考えられます。アンテナの向きや高さ、設置場所を変えると改善することがあります。
電波が強すぎる・ブースターの上げすぎ
電波は強ければよいわけではなく、テレビが受け止められる量を超えると信号がひずみ、品質の数値が下がります。送信所に近い家や、ブースターの利得(増幅の度合い)を必要以上に上げている家で起きやすい症状です。詳しくはアンテナレベルが高すぎるとどうなる?で解説しています。
ブースターや分配器の劣化
ブースターは長く使うと内部の部品が傷み、増幅するときに雑音を一緒に大きくしてしまうことがあります。分配器も、屋根裏や外壁で長年使ううちに接続部が傷みます。家じゅうのテレビで同じように品質が低いなら、家全体に電波を配っている機器を疑います。
家電や携帯電話の基地局の電波
LED照明や電子レンジ、パソコン周りの機器などから出る雑音が、テレビの近くのケーブルに入ることがあります。また、テレビ放送の近くの周波数を使う携帯電話の基地局の電波で、ブースターがうまく働かなくなる受信障害も知られています。この場合はブースターの交換やフィルターの取り付けで対策します。
受信品質が低いときに自分で試せる対処
業者に頼む前に、部屋の中でできることを順番に試します。試す前に、今の品質の数値をチャンネルごとにメモしておくと、良くなったかどうかが分かります。雷が鳴っているあいだはアンテナ線や電源プラグに触らないでください。
1. 品質が低いチャンネルと時間を確かめる
全部のチャンネルで低いのか、一部のチャンネルだけなのかを見ます。一部だけなら反射や送信所の方向、全部なら家の設備側の可能性が高くなります。夕方や夜だけ下がる、雨の日だけ下がる、といった傾向もメモしておきましょう。
2. アンテナ線を差し直し、ネジ式の接栓を締める
テレビの背面と壁の端子の両方で、アンテナ線を一度抜いて奥まで差し直します。ネジ式の接栓はゆるみがないか確かめます。ソニーのサポート情報でも、接続の状態や断線、端子の差し間違いを確かめるよう案内されています。
3. 傷んだ線や古い線を交換する
家具の下敷きになって折れた線、被覆が裂けた線、細くて長い延長線は、雑音が入りやすくなります。4K8K対応などのしっかりしたケーブルに替えて数値を比べてみましょう。
4. 分配器やレコーダーを外して直接つなぐ
分波器や分配器、レコーダーを通しているときは、いったん外して壁の端子からテレビへ1本でつなぎます。直接つないで品質が上がれば、間の機器か線に原因があります。
5. 近くの家電を止めて比べる
テレビの近くの照明や電子機器、充電器などを一つずつ止めて、品質の数値が変わるかを見ます。特定の機器を止めたときだけ上がるなら、その機器とアンテナ線を離すと改善することがあります。
6. アッテネーターの設定を確かめる
パナソニックのサポート情報では、地デジの数値が80以上と高すぎるときは、テレビのアッテネーターを「オン」にしてみるよう案内されています。反対に、電波が弱いのにアッテネーターが入っていると品質が下がるので、今の設定がどちらかを確かめます。
7. 電源を入れ直して再スキャンする
テレビの電源プラグを抜いて1分ほど待ち、差し直してからチャンネルの再スキャンを行います。録画中は録画が終わってから行ってください。
それでも上がらないならアンテナ側の不具合を疑う
ここまで試しても品質の数値が目安に届かず、家のほかのテレビやレコーダーでも同じように低いなら、原因はテレビではなく屋外や屋根裏の受信設備にあると考えられます。パナソニックのサポート情報でも、数値が低いときはアンテナの設置環境の問題が考えられるとして、アンテナの設置業者への相談を案内しています。
アンテナの向きが少しずれている
台風や強風のあと、アンテナがわずかに動くと、直接の電波が弱くなり反射の影響を受けやすくなります。見た目では分からない程度のずれでも、品質の数値には出ます。
屋外の接続部への浸水やさび
アンテナの根元や外壁を通るケーブルの接続部に雨水が入ると、雑音が入り込みます。雨の日に大きく下がるときに多い原因です。
ブースターの劣化や調整の不足
ブースターの故障や、利得の上げすぎ・足りなさは、測定器で各部屋の電波を測らないと正しく直せません。屋根裏や屋外にあるブースターの調整は、無理に自分で触らないほうが安全です。
ここまで試して直らない場合は、アンテナ本体・ケーブル・ブースターの不具合が考えられます。業者は測定器で電波の強さと品質を場所ごとに測り、どこで乱れているかを確かめてから直します。原因の確認と見積もりは無料の業者が多いので、まずは業者に見てもらうのが早道です。
※見積もりだけでもOK
一方、同じ端子と線につないだほかのテレビでは品質が十分なのに、1台だけ低い場合はテレビ本体の不具合も考えられます。その場合は型番を伝えて、購入した販売店やメーカーの修理窓口に相談しましょう。マンションやアパートでは、屋上のアンテナや共用のブースターは建物の設備なので、管理会社や大家さんに相談します。映像が止まったりモザイクが出たりする症状が中心なら、地デジのブロックノイズの原因と対処法もあわせて確かめてください。
受信品質を上げる工事の費用の目安
費用は原因と作業の内容によって変わります。複数の業者や比較サイトで公開されている料金をもとにした目安は次のとおりです。屋根の形や高さ、使う部材で金額は前後するので、作業の前に見積もりで総額を確かめてください。
| 作業内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 受信状態の測定・簡単な調整 | 3,000円〜10,000円程度 |
| 地デジアンテナの向き調整 | 5,000円〜20,000円程度 |
| 接続部・ケーブル・分配器の交換 | 5,000円〜25,000円程度 |
| ブースターの設置・交換や利得の調整 | 15,000円〜40,000円程度 |
| 地デジアンテナの交換・設置場所の変更 | 20,000円〜60,000円程度 |
接続部のやり直しや向きの調整で済めば安く収まりますが、アンテナやブースターが傷んでいれば交換になります。見積もりのときは、測定や原因調査に費用がかかるか、出張費が別か、追加料金が出る条件があるかを確かめておくと安心です。
台風・強風・雪・落雷などの自然災害でアンテナの向きがずれた、ブースターが壊れた、という場合は、火災保険の補償の対象になることがあります。ただし経年劣化による不具合は対象外で、補償されるかどうかは契約内容によって変わります。申請は契約者本人が保険会社に行うものなので、修理の前に壊れた部分の写真を残し、契約内容を確かめておきましょう。
受信品質が低いときにおすすめのアンテナ工事業者
受信品質の低下は、測定器で電波の強さと品質の両方を測らないと原因を決めにくい症状です。受信状態の測定から調整、部品の交換までまとめて頼める業者を紹介します。
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受信品質が低いときによくある質問
品質が少し低くても映っていれば放っておいてよいですか?
普段は映っていても、目安ぎりぎりの状態だと雨や雪の日、風の強い日に映らなくなりやすくなります。録画が途中で止まる、ブロックノイズが増えてきた、という症状があるなら、早めに点検しておくと安心です。
ブースターを付ければ受信品質は上がりますか?
電波が弱いことが原因なら改善することがありますが、雑音や反射が原因の場合は、ブースターは雑音も一緒に大きくするため品質はあまり上がりません。強すぎる電波が原因なら、かえって悪くなります。付ける前に、強さと品質のどちらが足りないのかを測ってもらうのが確実です。
地デジは品質が十分なのにBSだけ低いのはなぜですか?
BSは地デジとは別のアンテナで受けているため、BSアンテナの向きのずれや、BSの電波を遮る木や建物、BS用のケーブルや分波器の不具合が考えられます。強い雨や雪のときに一時的に下がるのはBSの特徴で、天気が戻っても低いままなら点検を考えましょう。
まとめ
テレビの受信品質は、電波の強さではなく、どれだけきれいに届いているかを表す数値です。強さがあっても品質が低いときは、次の順番で確かめましょう。
- 強さと品質のどちらが低いか、どのチャンネルで低いかを見る
- アンテナ線を差し直し、傷んだ線を交換する
- 分配器やレコーダーを外して壁から直接つなぐ
- 近くの家電を止めて数値の変化を見る
- アッテネーターの設定を確かめ、電源の入れ直しと再スキャンをする
それでも家じゅうのテレビで品質が低い、台風のあとから下がった、雨の日に大きく下がるという場合は、アンテナの向きのずれや接続部の浸水、ブースターの劣化や調整の不足が考えられます。屋根には自分で上らず、電波の強さと品質を測ってくれるアンテナ工事業者に点検と見積もりを頼みましょう。








