「地デジは映るのにBSだけ映らない」「ケーブルを動かすと映ったり消えたりする」というとき、テレビの裏にある分波器が原因になっていることがあります。分波器は、壁の端子から来た1本のケーブルを、地デジ用とBS・CS用の2本に分けてテレビにつなぐ小さな部品です。
分波器の故障を疑う症状は、地デジかBS・CSの片方だけが映らない、触ると映りが変わる、E202などのエラーが出たり消えたりするの3つが代表的です。ただし同じ症状は、差し間違い・ケーブルの劣化・BSアンテナ電源の設定でも起きます。分波器を外してテレビに直接つなぐテストをすれば、分波器が原因かどうかはほぼ切り分けられます。分波器そのものは数百円〜数千円で買える部品ですが、交換しても直らない場合はアンテナやブースターなど家の配線側を点検してもらう必要があります。
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分波器とは?1本のケーブルを地デジとBS・CSに分ける部品
戸建てでは、屋根の上の地デジアンテナとBS・CSアンテナの電波を、混合器やブースターで1本のケーブルにまとめて家の中へ送っていることがほとんどです。まとめた電波は分配器で各部屋に分けられ、壁のテレビ端子まで届きます。
ところがテレビの裏には「地上デジタル」と「BS・110度CS」の入力端子が別々にあります。そこで、壁の端子から来た1本のケーブルを2本に分けるのが分波器の役目です。分波器には入力が1つ、出力が2つあり、出力には「UHF(地デジ)」「BS・CS」と書かれています。周波数の違いを使って電波を分けているので、どちらの出力をどの端子につなぐかが決まっています。混合器や分配器との違いは、アンテナの混合器とは?分波器との違いと映らない時の原因で詳しく整理しています。
分波器はBSアンテナへの電気も通している
BS・CSアンテナは、テレビやレコーダーから送られる電気で動いています。この電気は、テレビのBS・CS端子から分波器を通って壁の端子へ、そしてアンテナへと流れます。多くの分波器は、入力とBS・CS出力の間で電気を通す作りになっていて、製品の仕様に「BS・CS電流通過」などと書かれています。分波器の中でこの通り道が傷むと、地デジは映るのにBS・CSだけ映らない、という症状になります。
4K8K放送には対応品が必要
BS・CSの4K8K放送の一部は、これまでより高い周波数(最大3,224MHz付近)を使っています。古い分波器はこの帯域に対応していないことがあり、故障していなくても4K放送の一部のチャンネルだけ映らないことがあります。4K8K放送を見るなら、「4K8K対応」「3224MHz対応」と書かれた分波器を使います。
分波器はテレビの裏にあるので確認しやすい部品ですが、症状だけでは分波器とほかの機器のどちらが悪いのか判断しにくいこともあります。自分で試しても直らないときは、受信レベルを測れる業者に見てもらうのが確実です。
※工事後のチャンネル設定まで対応
分波器の故障を疑う症状と切り分け
分波器の不具合で出やすい症状と、ほかに考えられる原因を表にまとめました。どの症状に近いかで、確認する場所の見当がつきます。
| 症状 | 分波器が原因のときの例 | ほかに考えられる原因 |
|---|---|---|
| 地デジは映るがBS・CSだけ映らない | BS・CS出力の内部の断線、電気の通り道の故障、出力の差し間違い | BSアンテナ電源の設定がオフ、BSアンテナの向きのずれ、コンバーターの故障 |
| BS・CSは映るが地デジだけ映らない | UHF出力の内部の断線、出力の差し間違い | 地デジアンテナの向きのずれ、ブースターの故障 |
| ケーブルを触ると映ったり消えたりする | 分波器の端子のゆるみ、付属ケーブルの根元の断線 | テレビ側や壁の端子の接触不良、ケーブルの劣化 |
| E202などのエラーが時々出る | 内部の接触不良で電波が不安定になっている | 電波の弱さ、天候、アンテナの劣化 |
| 4K放送の一部のチャンネルだけ映らない | 4K8K放送の周波数に対応していない古い分波器 | 分配器・ケーブル・ブースターが4K8K非対応 |
| 家じゅうのテレビが同時に映らない | 分波器が原因の可能性は低い | アンテナ・ブースター・停電後の電源部など家全体の機器 |
ポイントは、映らないのが1台のテレビだけか、家じゅうのテレビかです。分波器は1台のテレビごとに付いている部品なので、その部屋だけの症状なら分波器やその部屋の配線を、家じゅうで同時に起きているなら分波器より手前の機器を疑います。
分波器が故障・不調になる主な原因
分波器は電源を使わない単純な部品で、何年もそのまま使えることが多い機器です。それでも次のような理由で不具合が出ることがあります。
ケーブルの根元への負担
ケーブル一体型の分波器は、テレビ台の裏で強く曲げられたり、テレビを動かしたときに引っ張られたりして、根元の中の線が切れかけることがあります。外から見て傷がなくても、中で接触が悪くなっていると、触ったときだけ映りが変わる症状になります。
接栓のゆるみやさび
分波器とテレビ、分波器と壁の端子をつなぐ金具(接栓)がゆるんでいたり、湿気でさびていたりすると、電波がうまく伝わりません。差し込むだけのプッシュ式は、ネジ式に比べて抜けかけに気づきにくいことがあります。
落雷による故障
近くに雷が落ちると、アンテナやケーブルを通じて大きな電気が流れ込み、分波器だけでなくブースターやテレビの端子まで傷むことがあります。雷のあとに映らなくなったなら、分波器を替えるだけでなく家全体の機器を点検してもらうと安心です。落雷・台風・強風・雪などの自然災害でアンテナや配線の機器が壊れた場合は、加入している火災保険で補償の対象になることがあります。ただし対象になるかどうかは契約内容によって違い、経年劣化による故障は対象外です。申請は契約者本人が保険会社に行います。
古い規格のまま使っている
故障ではありませんが、BSアンテナを後から付けた家や4K放送を見始めた家では、分波器が今の放送の周波数に合っていないことがあります。この場合は対応品に替えるだけで直ることがあります。
分波器が原因か自分で確認する手順
分波器はテレビの裏にあるので、家の中で安全に確認できます。次の順に試してみてください。作業の前にテレビの電源を切り、ケーブルを抜き差しするときは端子をまっすぐ扱います。
出力の差し間違いがないか見る
分波器の「UHF」と書かれた出力がテレビの地上デジタル端子に、「BS・CS」と書かれた出力がテレビのBS・110度CS端子につながっているかを確認します。パナソニックのサポート情報でも、受信できないときの確認項目として、分波器のBS・CSの出力からテレビのBS・CS端子へつながっているかを挙げています。レコーダーを経由している場合は、レコーダーの入力・出力の端子もあわせて見ます。
接栓をしっかり差し直す
壁の端子、分波器、テレビの3か所で、ケーブルを一度抜いて奥までしっかり差し直します。ネジ式の接栓なら、指で回して締め直します。抜いたときに金具がさびていたり、中の芯線が曲がっていたりしないかも見ておきましょう。
分波器を外して直接つなぐ
いちばん分かりやすいのがこのテストです。普通のアンテナケーブルを1本用意し、分波器を外して、壁の端子とテレビの映らない側の端子(BSだけ映らないならBS・CS端子、地デジだけ映らないなら地上デジタル端子)を直接つなぎます。これで映るようになれば、分波器が原因の可能性が高いと考えられます。直接つないでも映らないなら、分波器以外に原因があります。
BSアンテナ電源の設定を確認する
BS・CSだけ映らない場合は、テレビの設定メニューで「BS・CSアンテナ電源」(メーカーによって呼び方が違います)がオフになっていないかを確認します。家の中で別のテレビやブースターがアンテナに電気を送っている場合もあるので、設定の正しい状態は取扱説明書で確認してください。
ほかの部屋の分波器と入れ替えてみる
映る部屋の分波器を借りて、映らない部屋のテレビにつないでみる方法もあります。借りた分波器で映れば、元の分波器の故障と判断できます。分波器は家電量販店やネット通販で数百円〜数千円で買えるので、原因と分かれば自分で交換してもかまいません。
分波器ではなかったときに疑う場所
直接つないでも映らない場合は、分波器より手前に原因があります。症状ごとに、次の場所を疑います。
その部屋だけ映らないなら分配器や壁の端子
ほかの部屋は映るのにその部屋だけ映らないなら、壁の端子、壁の中のケーブル、各部屋に電波を分けている分配器が考えられます。分配器の症状の見分け方は、分配器の故障の症状とは?一部の部屋だけ映らない原因と交換費用を参考にしてください。
家じゅうで片方だけ映らないならアンテナやブースター
どの部屋でも地デジだけ、あるいはBSだけ映らないなら、そのアンテナの向きのずれや故障、ブースターや混合器の不具合が考えられます。地デジだけが映らないときの確認の流れは、地デジだけ映らないのにBSは映る原因は?でまとめています。
アンテナやブースターは屋根の上や屋根裏にあることが多く、自分で触ると転落やけがの危険があります。ここから先は業者に受信レベルを測ってもらい、どこが悪いのかを特定してもらいましょう。
分波器の交換費用の相場
分波器そのものは安い部品なので、交換だけなら費用はあまりかかりません。業者に頼む場合は、部品代と作業費のほかに出張費や点検費がかかることがあります。下の表は、販売店の価格や工事業者の料金表など複数の情報をもとにした一般的な目安です。
| 内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 分波器の本体(自分で買う場合) | 700円〜4,000円程度(4K8K対応やケーブルの長さで変わる) |
| 業者による分波器の取り付け・交換 | 1,000円〜8,000円程度(出張費・点検費が別にかかることがある) |
| 分配器の交換 | 5,000円〜20,000円程度 |
| ブースターの交換 | 15,000円〜45,000円程度 |
| アンテナの向きの調整・修理 | 内容によって大きく変わるため現地で見積もり |
分波器だけのために業者を呼ぶと、出張費のほうが高くつくこともあります。分波器の交換は自分で済ませ、それでも直らないときに配線全体の点検を頼むのが無駄の少ない進め方です。見積もりを取るときは、出張費・点検費・部品代がすべて含まれているか、作業のあとに追加料金が出ないかを確認しておきましょう。
分波器の故障の相談におすすめのアンテナ工事業者
分波器を替えても直らないときは、アンテナやブースターを含めて受信レベルを測ってもらうのが近道です。急ぎの故障に対応しやすい業者を紹介します。
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まとめ
分波器は、壁の端子から来た1本のケーブルを地デジ用とBS・CS用に分ける部品です。故障すると、地デジかBS・CSの片方だけ映らない、触ると映りが変わる、エラーが出たり消えたりする、といった症状が出ます。
まずは出力の差し間違いと接栓のゆるみを確認し、分波器を外して壁の端子とテレビを直接つないでみてください。直接つないで映れば分波器の交換で直る見込みが高く、部品代は数百円〜数千円程度です。直接つないでも映らない場合や、家じゅうのテレビで同じ症状が出ている場合は、分配器・ブースター・アンテナなど家の配線側に原因があります。屋根の上や屋根裏の作業は危険なので、受信レベルを測れる業者に点検を頼みましょう。
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