「リビングのテレビは映るのに、2階の部屋だけ映らない」「BSだけ映らない部屋がある」と困っていませんか。家の中でアンテナの電波を各部屋に分けている分配器は、屋根裏や天井裏、テレビ台の裏などに隠れていることが多く、不具合が起きていても気づきにくい部品です。
結論から言うと、一部の部屋だけ映らない、特定の端子につないだテレビだけBSが映らないという症状は、分配器やそのまわりの配線を疑う大きな手がかりになります。ただし、同じような症状はケーブルや壁の端子、ブースターの不具合でも起きるため、順番に切り分けていくことが大切です。
この記事では、分配器が故障したときに出やすい症状、故障の主な原因、業者を呼ぶ前に自分で確認できること、交換にかかる費用の相場をまとめています。
分配器とは?テレビの電波を各部屋に分ける部品
分配器は、1本のアンテナケーブルで届いた電波を、2つ・3つ・4つと複数の出力に分けて各部屋のテレビ端子へ送る部品です。戸建てでは、アンテナ(必要に応じてブースター)から来たケーブルが分配器に入り、そこから各部屋の壁のテレビ端子へケーブルが伸びている、という配線が一般的です。
| よくある設置場所 | 特徴 |
|---|---|
| 屋根裏・天井裏 | 新築時に家全体の配線をまとめていることが多い。点検口から入る必要がある |
| 分電盤やマルチメディアボックスの中 | 比較的新しい家に多い。ふたを開けると見られることがある |
| 屋外の壁・アンテナの近く | 屋外用の防水タイプ。雨風の影響を受けやすい |
| テレビ台の裏 | 1つの端子から2台のテレビ(またはテレビとレコーダー)に分けている場合 |
分けるほど電波は弱くなる
分配器は電波を「分ける」だけなので、分ける数が多いほど1つの出力あたりの電波は弱くなります。たとえばマスプロ電工の屋内用分配器の仕様では、地デジの帯域での分配損失が2分配で約4dB、4分配で約7.6dBとされています。もともとの電波が弱い地域や、端子の数が多い家では、分配したことで末端の部屋の受信レベルが足りなくなることがあります。
「通電」の方式が2種類ある
BS・CSアンテナは、テレビやレコーダーから電気を送ってもらって動きます(BS・CSアンテナ電源の供給)。この電気を分配器のどの端子から通せるかによって、分配器には次の2種類があります。
- 全端子通電型:どの出力端子につないだテレビからでも、アンテナ側へ電気を送れる
- 1端子通電型:電気を通せるのは決められた1つの出力端子だけ。ほかの端子につないだテレビからは電気を送れない
この違いは、あとで説明する「BSだけ映らない部屋がある」という症状に深く関わります。分配器の本体やラベルに「全端子電流通過型」「1端子電流通過型」などと書かれていることが多いので、確認するときの目印にしてください。
分配器のまわりのどこに原因があるのかは、受信レベルを測る測定器がないと見極めにくいものです。早く直したいときは、業者に点検してもらうのが確実です。
※まずは症状の相談・見積もりからでもOK
分配器が故障したときに出やすい症状
分配器の不具合では、次のような症状が出やすくなります。いくつか当てはまるなら、分配器やそのまわりの配線を疑ってみましょう。
- 一部の部屋のテレビだけ映らない・映りが悪い:分配器の特定の出力端子が傷んでいる、その端子のケーブルのつなぎ目がゆるんでいる、といった場合に起こります
- 特定の部屋のテレビをつけたときだけBSが映る:1端子通電型の分配器で、電気を通せる端子につながったテレビがBSアンテナに電気を送っている状態です。そのテレビを消すと、ほかの部屋でもBSが映らなくなります
- 地デジは映るのにBS・CSだけ映らない部屋がある:分配器がBS・CSの周波数に対応していない古いもの、または通電できない端子にBSアンテナ電源を担うテレビがつながっている可能性があります
- ブロックノイズやE202などのエラーが出たり消えたりする:接栓(ケーブルの先の金具)のゆるみやさび、分配器内部の接触不良で、電波が不安定になっていることがあります
- 端子を増やしたり部屋を替えたりしてから映らなくなった:分配数を増やして末端の電波が弱くなった、通電できない端子にテレビをつなぎ替えた、などが考えられます
反対に、家じゅうのテレビで同時に映らない場合は、分配器より手前にあるアンテナやブースターに原因があることが多くなります。ブースターの劣化が心配な場合は、テレビのブースターの寿命は何年?故障のサインと交換費用もあわせて確認してください。また、全部の部屋で一部のチャンネルだけが映らないなら、地デジで特定のチャンネルだけ映らない原因で紹介しているように、アンテナの向きや電波の状況が関係していることもあります。
分配器が故障する主な原因
分配器は電源を使わない部品も多く、比較的長持ちする機器です。それでも、次のような原因で不具合が起きることがあります。
経年劣化と接栓のさび・ゆるみ
長く使っていると、分配器の端子や、ケーブルの先に付いている接栓が少しずつさびたり、ゆるんだりします。総務省の受信障害に関する資料でも、家の中の分配器・分岐器や壁の端子の経年劣化や施工不良が、受信不良の原因になりうるとされています。特に屋根裏は夏の暑さと冬の寒さの差が大きく、湿気もたまりやすい場所です。
屋外に付いた分配器への雨水の侵入
屋外用の分配器は防水の作りになっていますが、ケーブルのつなぎ目の防水処理が傷むと、そこから雨水が入り込むことがあります。中がさびると、電波がうまく通らなくなります。
落雷による故障
近くに雷が落ちると、アンテナやケーブルを通じて大きな電気が流れ込み、分配器やブースター、テレビ側の端子が壊れることがあります。雷のあとに急に映らなくなった場合は、分配器だけでなくブースターも傷んでいることが多いので、まとめて点検してもらいましょう。
落雷・台風・強風・雪などの自然災害でアンテナや配線の機器が壊れた場合は、加入している火災保険で補償の対象になることがあります。ただし、対象になるかどうかや補償の範囲は契約内容によって違い、経年劣化による故障は対象外です。申請は契約者本人が保険会社に行います。
古い分配器が今の放送に合っていない
故障ではありませんが、古い分配器の中には、BS・CSの周波数に対応していないものや、新4K8K衛星放送の一部で使われる高い周波数に対応していないものがあります。BSアンテナを後から付けた家や、4K8K放送を見始めた家で「BS・CSだけ映らない」「一部のチャンネルだけ映らない」となる場合は、分配器が対応品かどうかを確認する必要があります。
業者を呼ぶ前に自分で確認できること
分配器の不調に見えても、テレビまわりの簡単な原因で映らないこともあります。家の中で安全にできる範囲で、次の順に確認してみてください。屋根裏に入る作業や、屋外の高い場所にある分配器を触る作業は、転落やけがの危険があるのでやめておきましょう。
- 映らない部屋のテレビのケーブルを差し直す:テレビ側と壁の端子側の両方で、ケーブルがしっかり差さっているか確認します。家具の移動や掃除で抜けかけていることがあります
- 映る部屋のケーブルとテレビで試す:映る部屋で使っているケーブルを借りて、映らない部屋につないでみます。これで映ればケーブルの不具合です。映らない部屋のテレビを映る部屋に持っていって映るなら、テレビ本体ではなく配線側の問題だと分かります
- BSアンテナ電源の設定を確認する:BS・CSだけ映らない場合は、テレビの設定メニューで「BS・CSアンテナ電源」の設定を確認します。1端子通電型の分配器の場合、電気を通せる端子につながっているテレビの設定を「オン」(機種によっては「オート」)にする必要があります。設定の名前や場所はテレビのメーカーや機種で違うので、取扱説明書で確認してください
- アンテナレベルを部屋ごとに比べる:テレビの設定メニューで受信レベル(アンテナレベル)を表示して、映る部屋と映らない部屋で数値を比べます。映らない部屋だけ大きく低いなら、その部屋に向かう配線や分配器の端子に原因がある可能性が高まります
- 手の届く分配器なら接栓のゆるみを見る:テレビ台の裏や分電盤のボックスの中など、手の届く場所にある分配器なら、ケーブルの接栓がゆるんでいないか、さびていないかを目で確認します
アンテナレベルが全体的に低い場合の考え方は、アンテナレベルが低い原因と対処法でも詳しく解説しています。
ここまで試しても直らない場合は、分配器そのものの故障か、天井裏や壁の中のケーブル、壁の端子に不具合があると考えられます。どこが悪いかは、各部屋の端子で受信レベルを測って比べないと特定できないため、業者に点検してもらいましょう。
分配器の交換費用の相場
分配器の部品そのものは数千円程度のものが多いですが、業者に頼む場合は、出張費・点検・交換作業の費用がかかります。下の表は、アンテナ工事関連の複数の情報をもとにした一般的な目安です。
| 工事の内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 分配器の交換(部品代+作業費) | 5,000円〜15,000円程度 |
| 受信状態の調査・配線の手直し | 5,000円〜15,000円程度 |
| 部屋の中のアンテナケーブルの交換 | 数千円〜(長さや本数、壁の中を通すかで変わる) |
| ブースターの交換(本体+電源部) | 15,000円〜45,000円程度 |
| 家全体のテレビ配線の工事 | 15,000円〜35,000円程度 |
分配器が屋根裏の奥にあって作業しにくい場合や、屋外の高い場所にある場合は、費用が上がることがあります。また、調べた結果、分配器だけでなくケーブルや壁の端子、ブースターの交換も必要になると、そのぶん費用が加わります。壁の端子が原因だった場合の修理については、テレビの壁端子が壊れたら修理はどうする?も参考にしてください。
見積もりを取るときは、部品代・作業費・出張費がすべて含まれているか、作業のあとに追加料金が出ないかを確認しておきましょう。
分配器を交換するときのポイント
せっかく交換するなら、今の放送や家の使い方に合った分配器を選んでもらいましょう。業者に相談するときは、次の点を伝えておくと話が早く進みます。
4K8K放送に対応した分配器を選ぶ
これからBS・CSの4K8K放送を見る予定があるなら、4K8K放送の周波数に対応した分配器を選びます。分配器だけが対応品でも、ケーブルやブースター、壁の端子が古いままだと映らないことがあるため、経路全体で対応しているかを確認してもらうと安心です。古いケーブルの見分け方は、アンテナケーブルの種類と古いタイプの見分け方で紹介しています。
BSを見る部屋が複数あるなら全端子通電型を検討する
1端子通電型の分配器では、決まった1台のテレビがBSアンテナに電気を送る役になります。そのテレビを消すとほかの部屋でBSが映らなくなるなど、使いにくさが出ることがあります。複数の部屋で別々にBSを見る家では、全端子通電型への交換を相談してみましょう。BSを2階の部屋にも分けたいときの工事については、BSアンテナを2階に分ける工事費用と配線方法で解説しています。
使っていない端子は分配しすぎない
使っていない部屋の分まで分配していると、そのぶん電波が弱くなります。端子の数が多い家や、もともと電波が弱い地域では、分配数を見直したり、必要に応じてブースターで電波を補ったりすることで、映りが安定することがあります。なお、分配器の使わない端子には、電波の乱れを防ぐための部品(ダミー抵抗)を付けておくのが一般的です。
天井裏や屋外の作業は業者に任せる
分配器の交換自体は単純な作業に見えますが、天井裏や屋外での作業は転落やけがの危険があります。また、交換したあとは各部屋の受信レベルを測って、映りに問題がないかを確かめる必要があります。手の届かない場所にある分配器は、業者に任せるのが安全です。
分配器の故障の相談におすすめのアンテナ工事業者
分配器まわりの不具合は、分配器・ケーブル・壁の端子・ブースターのどこが原因なのかを測定器で確かめないと、正しく直せません。業者を選ぶときは、各部屋の受信レベルを測ったうえで交換が必要な部分を説明してくれるか、見積もり後に追加料金が出ないか、工事後の保証があるかを確認しましょう。
一部の部屋だけ映らない、BSが映らない部屋があるといったトラブルを相談しやすい業者を紹介します。見積もりを見てから依頼するかどうか決められます。
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|---|---|
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| 支払い方法 | 現金、銀行振込、クレジットカード、PayPay |
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まとめ
分配器は、アンテナの電波を各部屋に分ける目立たない部品ですが、傷んだり今の放送に合っていなかったりすると、一部の部屋だけ映らない、BSだけ映らないといったトラブルにつながります。症状の出方を手がかりに、順番に切り分けていきましょう。
- 分配器は電波を各部屋に分ける部品で、分ける数が多いほど1つあたりの電波は弱くなる
- 一部の部屋だけ映らない、特定のテレビをつけたときだけBSが映る、BS・CSだけ映らない部屋がある、といった症状は分配器を疑う手がかり
- 家じゅうのテレビで同時に映らないなら、分配器より手前のアンテナやブースターが原因のことが多い
- 原因は経年劣化・接栓のさびやゆるみ・雨水の侵入・落雷・古い分配器の非対応など。自然災害なら火災保険の対象になることもあるが、経年劣化は対象外
- 自分で確認できるのはケーブルの差し直し、テレビの入れ替え、BSアンテナ電源の設定、部屋ごとのアンテナレベルの比較まで
- 分配器の交換は5,000円〜15,000円程度が目安。ケーブルやブースターの交換が必要なら費用が加わる
「分配器が悪いのか、ケーブルや端子が悪いのか分からない」というときは、業者に各部屋の受信レベルを測ってもらうのが一番の近道です。テレビが映らなくて困っているなら、まずは見積もりだけでも相談してみましょう。
※まずは症状の相談・見積もりからでもOK

