「地デジがときどき映らなくなる」「新しく家を建てる場所が電波の弱い地域だと言われた」など、電波の弱さが原因でアンテナ選びに迷っていませんか。近所の家と同じようなアンテナを付けたのに映りが不安定だったり、見た目のよいアンテナにしたいけれど映るか心配だったりすると、何を基準に選べばよいのか分かりにくいものです。
結論から言うと、地デジの弱電界地域では、素子数の多い高性能な八木アンテナをできるだけ高い位置に立て、必要に応じてブースターを組み合わせるのが基本です。デザインアンテナや室内アンテナは、製品と設置場所によっては使えることもありますが、電波を測ってから判断しないと「映らない」「天気が悪いと途切れる」といった後悔につながりやすくなります。
この記事では、強電界・中電界・弱電界の目安、自宅が弱電界かどうかの調べ方、向いているアンテナと向かないアンテナ、ブースターや設置の高さの考え方、工事費用の相場までまとめています。
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地デジの弱電界とは?強電界・中電界との違い
「電界」とは、送信所や中継局から届く電波の強さのことです。アンテナ業界やメーカーの製品表示では、電波の強さに応じて「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」の3つに分けて表すのが一般的です。送信所に近く、間に山や高い建物がない場所ほど電波は強く、送信所から遠い場所や山かげ・ビルかげになる場所ほど弱くなります。
区分の数値は資料によって多少違いますが、電界強度(dBμV/m)でおおむね次のように説明されることが多いです。
| 区分 | 電界強度の目安 | 使われることが多いアンテナ |
|---|---|---|
| 強電界地域 | おおむね80dBμV/m前後以上 | 小型の八木アンテナ(8素子程度)、デザインアンテナ。条件がよければ室内アンテナでも受信できる場合がある |
| 中電界地域 | おおむね70dBμV/m前後 | 14〜20素子程度の八木アンテナ、中電界対応のデザインアンテナ |
| 弱電界地域 | おおむね60dBμV/m前後以下 | 20素子以上の高性能な八木アンテナ、必要に応じてブースターを併用 |
境界の数値は「75dB以上を強電界とする」「強と弱の2つに分ける」など資料によって幅があり、ひとつの決まった基準があるわけではありません。また、この表の数値は電波そのものの強さを示す目安で、テレビの設定画面に出る「アンテナレベル」の数字とは別物です。目安として参考にしつつ、最終的には実際に受信できる電波の強さで判断することが大切です。
同じ市区町村の中でも、家の向きや高さ、周りの建物・山・木の状況によって受信できる電波は大きく変わります。「この地域は強電界だから大丈夫」と考えて小さなアンテナを付けたら、自宅だけ映りが悪かったというケースもあるため、地域の区分だけで決めず、家の場所で電波を測ってもらうのが確実です。
自宅が弱電界かどうかを調べる方法
アンテナを選ぶ前に、自宅の電波の強さをおおまかに知っておくと、業者の説明も理解しやすくなります。調べ方は主に次の4つです。
放送エリアの目安を地図で確認する
一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)のサイトでは「地デジ放送エリアのめやす」が公開されており、住所や地図から、どの送信所・中継局の電波が届く範囲かを確認できます。送信所の方向や、放送エリアの端に近いかどうかの見当をつけるのに役立ちます。ただし、これはあくまで目安で、山かげやビルかげなど細かな地形・建物の影響までは反映されません。
近所の家のアンテナを見る
周りの家のアンテナも手がかりになります。近所の多くの家が素子数の多い大きな八木アンテナを高い位置に立てている、ブースターを付けている様子がある、という場合は、電波が強くない地域の可能性があります。反対に、壁面のデザインアンテナが多い地域は、比較的電波が強いと考えられます。
テレビのアンテナレベルを確認する
すでにアンテナがある家なら、テレビの設定画面でアンテナレベル(受信レベル)を確認できます。表示の仕方や「何以上なら安定」という目安はメーカーや機種によって違うため、取扱説明書やメーカーのサポート情報で確認してください。チャンネルによってレベルが大きく違う、雨の日にだけレベルが下がる、という場合は電波に余裕がない状態のサインです。レベルが低いときの原因と対処法は、アンテナレベルが低い原因と対処法で詳しく解説しています。
業者に電波測定をしてもらう
もっとも確実なのは、アンテナ工事業者に専用の測定器で電波を測ってもらう方法です。屋根の上・壁面・ベランダなど、設置候補の場所ごとに受信レベルを測れるので、「どのアンテナを、どこに、どの向きで付ければよいか」まで具体的に判断できます。現地調査や見積もりを無料で行っている業者もあるので、工事を決める前に相談してみるとよいでしょう。
弱電界に向いているアンテナと向かないアンテナ
弱電界地域では、アンテナの「電波を拾う力(受信性能)」がそのまま映りの安定につながります。種類ごとの向き不向きを整理しました。
| アンテナの種類 | 弱電界での向き不向き | ポイント |
|---|---|---|
| 八木アンテナ(20素子以上の高性能タイプ) | 向いている | 素子数が多いほど電波を拾う力が強い。屋根の上の高い位置に立てられる |
| 八木アンテナ(14素子程度) | 条件しだい | 中電界向けが中心。弱電界ではブースターを組み合わせても余裕が少ないことがある |
| デザインアンテナ(中・弱電界対応の製品) | 条件しだい | 壁面に付けるため位置が低くなりやすい。電波の来る方向が開けていれば使える場合もある |
| デザインアンテナ(強電界向けの製品) | 向かない | 受信性能が足りず、映りが不安定になりやすい |
| 屋根裏・室内アンテナ | 向かない | 屋根材や壁で電波が弱まるため、弱電界ではほとんどの場合受信が難しい |
基本は素子数の多い高性能な八木アンテナ
八木アンテナは、魚の骨のような横棒(素子)が並んだ形のアンテナです。素子の数が多いほど電波を集める力が強くなり、弱電界地域向けとして20素子以上のモデルが販売されています。屋根の上に支柱を立てて取り付けるため、周りの建物より高い位置で受信できるのも弱電界では大きな強みです。
また、八木アンテナは向いている方向の電波を強く受ける性質があるため、送信所の方向にきちんと向けることが重要です。弱電界では、向きが少しずれただけで受信レベルが大きく下がることもあるので、測定器で確認しながら向きを合わせる必要があります。
デザインアンテナは「電波を測ってから」
デザインアンテナは外観になじむため人気がありますが、八木アンテナより受信性能は控えめで、外壁に付けるぶん受信する位置も低くなります。製品によっては「中・弱電界用」と表示された高性能なものもありますが、弱電界地域では設置できるかどうかを現地で測定してから決めるのが前提です。測定の結果、壁面では受信レベルが足りない場合は、八木アンテナを選ぶほうが後悔しにくいでしょう。八木アンテナとデザインアンテナの違いは、八木アンテナとデザインアンテナの違いで比較表にまとめています。
屋根裏・室内アンテナは弱電界ではおすすめしにくい
屋根裏や室内に置くアンテナは、屋根材・外壁・窓ガラスを通り抜けてきた電波を受けるため、屋外よりも電波が弱くなります。もともと電波の強い地域なら使えることもありますが、弱電界地域ではブースターを使っても映らない、天候で途切れる、といったトラブルになりやすく、おすすめしにくい選択肢です。
弱電界ではブースターと設置の高さで受信を補う
高性能なアンテナを選んでも電波が足りない場合は、ブースターや設置の高さで受信を補います。
ブースターで電波を増幅する
ブースターは、アンテナが受けた電波を増幅する機器です。弱電界地域では、アンテナのすぐ近くに増幅部を取り付けるタイプのブースターを使うことが多く、テレビの台数が多い家や、配線が長く途中で電波が弱まる家では特に効果があります。
ただし、ブースターは電波と一緒に雑音(ノイズ)も増幅するため、アンテナで受けた電波そのものが弱すぎる場合は、ブースターだけでは映りが改善しないことがあります。反対に、増幅しすぎると今度は電波が強すぎてブロックノイズが出ることもあるため、測定しながら適切に調整することが大切です。自宅にブースターが必要かどうかの考え方は、テレビのブースターは必要か?を参考にしてください。
アンテナをできるだけ高い位置に立てる
弱電界地域では、アンテナを付ける高さも重要です。周りの家や木などが電波をさえぎっている場合、アンテナの位置を高くするだけで受信レベルが上がることがあります。屋根の上に支柱を立てる、支柱を長いものにするなどの方法がありますが、高く立てるほど風の影響を受けやすくなるため、支線(ワイヤー)での固定など、倒れないための施工も欠かせません。
天候の悪い日でも映る「余裕」を見ておく
弱電界地域では、晴れの日にぎりぎり映っていても、雨や雪の日、空気の状態によって受信レベルが下がり、映らなくなることがあります。工事のときは「いま映るか」だけでなく、天候が悪くなっても映り続けるだけの余裕があるかどうかを業者に確認しておくと安心です。
弱電界地域でのアンテナ工事の費用相場
弱電界地域では、高性能なアンテナやブースター、高い位置に立てるための部材が必要になりやすく、強電界地域より費用がかかる傾向があります。複数のアンテナ工事関連の情報をもとにした一般的な目安は次のとおりです。
| 工事内容 | 費用の目安(本体・工事費込み) |
|---|---|
| 八木アンテナの新規設置(地デジのみ) | 15,000円〜40,000円程度 |
| デザインアンテナの新規設置(地デジのみ) | 20,000円〜55,000円程度 |
| ブースターの追加 | 15,000円〜30,000円程度 |
| 高所作業費(屋根の上など、別途計上する業者の場合) | 10,000円〜25,000円程度 |
| 既存アンテナの撤去・処分(交換時) | 3,000円〜15,000円程度 |
弱電界向けの高性能な八木アンテナは、一般的な八木アンテナより本体価格が高めになることがあります。また、支柱を長くする、支線を追加するといった工事は、屋根の形や設置場所によって内容が大きく変わるため、現地で見てもらってからの見積もりになるのが一般的です。
見積もりを比べるときは、アンテナの機種(素子数)、ブースターの有無、高所作業費や部材費が総額に含まれているか、見積もり後に追加料金が発生する条件はあるかを確認しておきましょう。
※工事後のチャンネル設定まで対応
弱電界地域でアンテナ工事を頼むときの注意点
弱電界地域では、業者の測定や施工の丁寧さによって映りの安定が大きく変わります。依頼する前に、次の点を確認しておきましょう。
現地で電波を測ってくれるか
設置候補の場所ごとに受信レベルを測り、アンテナの種類や設置場所を提案してくれる業者を選びましょう。
アンテナの機種と素子数を説明してくれるか
見積書に「地デジアンテナ一式」としか書かれていない場合は、どの性能のアンテナを付けるのか確認しておくと安心です。
ブースターが必要な理由を説明してくれるか
必要な場合も不要な場合も、測定結果をもとに理由を説明してもらいましょう。
工事後の保証があるか
天候の悪い日に映らなくなったときや、強風で向きがずれたときに対応してもらえるかを確認しておくと安心です。
デザインアンテナを希望する場合は、「デザインアンテナで十分な受信レベルが取れるか」「取れない場合はどうするか」を事前に相談しておくと、工事当日になって予定を変えることになっても慌てずに済みます。
弱電界地域のアンテナ相談におすすめのアンテナ工事業者
弱電界地域では、現地で電波をしっかり測り、受信環境に合ったアンテナを提案してくれる業者に相談するのが近道です。アンテナドクターは完全自社施工で、見積もり後の追加料金がありません。街角アンテナ工事相談所は受付から工事まで専属スタッフが対応し、Webからの申込なら5,000円割引があります(群馬県・埼玉県北部・東北・北海道・北陸・九州・沖縄などは対象外)。
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まとめ
地デジの弱電界地域でのアンテナ選びのポイントをおさらいします。
弱電界とは
送信所から遠い、山や建物の陰になるなどで電波が弱い地域。区分の数値は資料によって幅があり、実際の受信状況は家ごとに違う
調べ方
放送エリアの目安や近所のアンテナで見当をつけ、最終的には業者の電波測定で判断する
向いているアンテナ
20素子以上の高性能な八木アンテナを高い位置に立てるのが基本。デザインアンテナは測定してから判断し、屋根裏・室内アンテナはおすすめしにくい
ブースターと高さ
電波が足りない分はブースターや設置の高さで補う。ただし元の電波が弱すぎるとブースターだけでは改善しない
費用
高性能アンテナやブースター、高所作業で費用が上がりやすいので、内訳の分かる見積もりを取る
「自宅が弱電界かどうか分からない」「デザインアンテナで映るか知りたい」という場合は、まず無料で電波を測ってもらい、受信環境に合ったアンテナと費用の見積もりを出してもらうのがおすすめです。
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