家の屋根に自分のアンテナがなく、地域や団地で共同で使っている「共聴アンテナ」からテレビの電波をもらっている戸建て住宅は、今も少なくありません。ところが「急にテレビが映らなくなったけれど、どこに連絡すればいいのか分からない」「施設が古くなったので組合を解散すると言われた」と、困っている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、共聴アンテナで映らないときは、まず「自宅の中の問題か、施設側の問題か」を切り分けることが大切です。そして施設の老朽化や解散で個別のアンテナに切り替えるなら、工事の前に「自宅で電波を受信できるか」を業者に調べてもらうのが失敗しない近道です。
この記事では、共聴アンテナの仕組みと自分の家が共聴かどうかの見分け方、映らないときの確認ポイント、個別アンテナへ切り替える流れと費用相場、補助制度の位置づけまでを順番に解説します。
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共聴アンテナとは?戸建てで使われている仕組み
共聴アンテナ(共同受信施設)とは、電波を受けやすい場所に共同のアンテナを1か所だけ立て、受信した電波をケーブルで複数の家に配る仕組みです。アンテナで受けた電波は、増幅器(ブースター)や分配器を通って電柱や地中のケーブルを伝わり、各家庭の中まで届けられます。
マンションの屋上アンテナも共聴の一種ですが、戸建てでも次のような場面で共聴アンテナが使われています。
戸建てが加入していることが多い共聴施設
- 辺地共聴施設は、山あいや谷間など、地形の影響で電波が届きにくい地域に作られた施設です。住民でつくる組合や自治体などが管理していることが多いです
- 受信障害対策の共聴施設は、近くに高い建物や高架の道路などができ、電波が遮られたり反射したりして映りが悪くなった地域に、建物を建てた側(原因者)が設けた施設です
- 団地・分譲地の共聴施設は、戸建ての団地や分譲地で、まとめて電波を配るために作られた施設です。自治会や管理組合が管理しているケースがあります
どの施設も、個人の家のアンテナとは違い、施設の持ち主・管理者がいるのが大きな特徴です。故障したときの連絡先や、切り替えるときの手続きもこの管理者が窓口になります。
自分の家が共聴かどうかの見分け方
引っ越してきたばかりの方や、親から家を引き継いだ方は、自宅が共聴につながっているか分からないこともあります。次の点を確認してみてください。
- 屋根やベランダに地デジのアンテナがない(または、古いアンテナがあるが線がつながっていない)
- 電柱から家の外壁に、電話線や電線とは別の細いケーブルが引き込まれている
- 外壁や軒下に、保安器やタップと呼ばれる小さな箱が付いている
- 毎年、または毎月「テレビ組合費」「共聴施設の維持費」などを払っている
当てはまる場合は、共聴施設から電波をもらっている可能性が高いです。ケーブルテレビの契約がないのに地デジが映っているなら、なおさら共聴の可能性があります。自治会や近所の方、組合の役員に聞くと確実です。
戸建てで共聴アンテナが映らないときの確認ポイント
共聴アンテナで映らないときは、原因が「施設側」にあるのか「自宅の中」にあるのかで、連絡する先がまったく変わります。まずは次の順番で切り分けましょう。
近所の家も映らないなら施設側のトラブル
同じ共聴施設につながっている近所の家も映っていないなら、共同アンテナや幹線のケーブル、増幅器など、施設側のトラブルが考えられます。落雷・台風・大雪のあとに一斉に映らなくなった場合も、施設側の故障の可能性が高いです。
この場合は、組合の役員や施設の管理者に連絡しましょう。施設の設備は管理者のものなので、自分で共同アンテナや電柱のケーブルを触るのはやめてください。
自分の家だけ映らないなら宅内の配線や機器を確認
近所は映っていて自分の家だけ映らないなら、家の中の配線や機器に原因があることが多いです。次の点を確認してみてください。
- テレビ裏や壁の端子のアンテナケーブルが抜けかけていないか、差し直して確認する
- テレビの電源プラグを抜いて数分待ち、差し直す(電源リセット)
- 家の中にブースターがある場合、電源部のコンセントが抜けていないか、ランプが点いているか
- 分配器を使っている場合、別の部屋のテレビは映るか(1台だけなら、その部屋の配線やテレビ側の問題)
- テレビの画面に「E202」などのエラー番号が出ていないか(電波が弱い・届いていないサインです)
これで直らない場合や、家の中の配線そのものが古くなっている場合は、宅内の配線工事が必要になることがあります。宅内の配線や機器は家の持ち主の負担で直すのが一般的なので、アンテナ工事業者に見てもらいましょう。原因が施設側か宅内か分からないときも、電波の強さを測れば見分けられます。
共聴施設の老朽化・解散で個別アンテナへの切り替えが増えている
共聴施設の多くは、アナログ放送の時代に作られ、地デジ化に合わせて改修されてきました。総務省の資料でも、辺地共聴施設は設備の老朽化が進む一方で、組合員の減少や高齢化によって維持管理が難しくなっていることが課題として挙げられています。
そのため、次のような理由で、戸建ての方が共聴をやめて自分の家にアンテナを立てるケースが増えています。
- 施設の更新費用が高い。ケーブルや増幅器の交換には大きな費用がかかり、加入世帯が少ないほど1軒あたりの負担が重くなります
- 組合の解散。役員のなり手がいない、加入者が減ったなどの理由で、施設そのものを廃止することがあります
- 受信障害の解消。受信障害対策の施設では、地デジ化で電波の状況が改善し、各家庭で直接受信できるようになったとして施設が廃止されることがあります
- BS・CSも見たい。地デジしか配っていない施設では、BS・CSを見るために結局自分でアンテナを付けることになります
なお、ビルなどが原因の受信障害対策の施設では、補償の期間や施設の扱いが原因者との取り決めで決まっていることがあります。補償がいつまで続くのか、終わったあとのアンテナ工事の費用は、電波障害の補償はいつまで?期間の決まりと終了後のアンテナ工事費用で詳しく解説しています。建物の影響が心配な方は、近くにビルがあってテレビが映らないときの原因と対策もあわせて確認してください。
共聴から個別アンテナへ切り替える流れと注意点
共聴から個別アンテナに切り替えるときは、次の流れで進めるとトラブルを防げます。
- 組合・管理者に切り替えの手続きを確認する。脱退の届け出が必要か、組合費はいつまで払うのか、引き込み線をいつ誰が外すのかを確認します
- 自宅で電波を受信できるか調べてもらう。アンテナ工事業者に、測定器で電波の強さと届く方向を調べてもらいます
- 見積もりを取って工事内容を決める。アンテナの種類、設置場所、ブースターの要否、BS・CSも付けるかを決めます
- アンテナ工事。アンテナを設置し、宅内の配線につないで全部屋で映るか確認します
- 共聴の引き込み線を外す。管理者の案内に合わせて、共聴施設とのつながりを外してもらいます
共聴施設のケーブルや保安器は施設の持ち主のものです。脱退の手続きが済む前に、自分で線を切ったり外したりしないようにしましょう。また、施設が止まる日が決まっているなら、テレビが映らない期間ができないよう、その前にアンテナ工事を終わらせておくと安心です。
いちばん大切なのは「受信できるか」の事前調査
共聴施設がある地域は、もともと電波が届きにくかった場所であることが多いです。特に辺地共聴の地域では、山や谷の影響で、自宅の屋根では十分な電波を受けられないこともあります。
受信できるかどうかは、地図や近所の様子だけでは判断できません。電波が弱い地域では、感度の高いアンテナやブースターを使ったり、マストを高くしたりすると受信できることがあります。弱い電波の地域でのアンテナの選び方は、地デジの弱電界地域に向くアンテナの選び方で詳しく解説しています。
調べた結果、どうしても安定して受信できない場合は、アンテナ以外の方法を考えることになります。現地調査を無料で行っている業者もあるので、工事を決める前に必ず電波を測ってもらいましょう。
アンテナ以外の選択肢も比べておく
個別アンテナのほかに、ケーブルテレビや光回線のテレビサービスに切り替える方法もあります。アンテナは設置費用がかかるかわりに月々の利用料がかからず、ケーブルテレビや光テレビは工事費が抑えられる場合があるかわりに月額料金がかかり続けます。
10年、15年と長く住む予定なら、総額ではアンテナのほうが安くなることが多いです。比べ方は光テレビとアンテナどっちがお得かを比較した記事を参考にしてください。
個別アンテナへの切り替え費用の相場
共聴から個別アンテナへ切り替えるときの費用の目安は、次のとおりです。アンテナ本体・取り付け金具・基本的な工事費を含んだ金額の目安で、家の形や設置場所、電波の状況によって変わります。
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 八木式アンテナの設置(地デジのみ) | 15,000円〜50,000円程度 |
| デザインアンテナの設置(地デジのみ) | 20,000円〜60,000円程度 |
| BS・CSアンテナの設置 | 15,000円〜40,000円程度 |
| 地デジ+BS・CSのセット設置 | 40,000円〜100,000円程度 |
| ブースターの設置 | 15,000円〜30,000円程度 |
| 宅内配線の引き直し・分配器の交換 | 数千円〜数万円程度(部屋数や距離による) |
共聴の地域は電波が弱いことが多いため、感度の高いアンテナやブースター、高いマストが必要になり、一般的な地域より費用が上がる場合があります。また、使っていない古いアンテナが屋根に残っている場合は、撤去の費用がかかることもあります。
費用をおさえるには、事前の電波調査と見積もりを無料で行っている業者に相談し、何にいくらかかるのか内訳を確認してから決めるのがおすすめです。見積もり後に追加料金がかからないかも確認しておきましょう。
※工事後のチャンネル設定まで対応
共聴から個別アンテナへの切り替えにおすすめのアンテナ工事業者
共聴からの切り替えでは、電波の調査から、アンテナの設置、宅内配線の確認までまとめて任せられる業者が安心です。現地調査や見積もりの対応、保証の内容を比べて選びましょう。
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共聴施設の補助制度と行政の役割
辺地共聴施設については、国が施設の改修や更新、ケーブルテレビへの切り替えなどを支援する補助事業を行っています。ただし、これらは主に施設を管理する自治体や組合などに向けたもので、個人の家のアンテナ工事の費用がそのまま補助の対象になるとは限りません。
行政は、補助制度の案内や施設の手続きについての相談には応じていますが、アンテナの設置などの工事そのものは行いません。自宅のテレビを見られるようにするには、アンテナ工事業者に電波の調査と見積もりを頼むことが先です。そのうえで、施設の解散にともなう補助や負担について知りたい場合は、組合の役員や、お住まいの市町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。
まとめ
戸建てで共聴アンテナを使っている場合のポイントをまとめます。
- 共聴アンテナは、共同のアンテナで受けた電波をケーブルで各家庭に配る仕組みで、施設ごとに管理者がいる
- 映らないときは、近所も映らないなら施設の管理者へ、自分の家だけなら宅内の配線や機器を確認する
- 施設の老朽化や組合の解散で、個別アンテナへの切り替えが増えている
- 切り替えるときは、組合の手続きを確認し、工事の前に自宅で受信できるか電波を調べてもらう
- 費用は地デジのみで15,000円〜60,000円程度、BS・CSも付けると40,000円〜100,000円程度が目安
共聴のある地域は電波の状況が家ごとに違うため、まずはプロに電波を測ってもらうことから始めましょう。現地調査と見積もりが無料の業者なら、費用の心配なく相談できます。
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