ブースターの調整とは、電波を増やす量(利得)や、入ってくる電波を弱める量(ATT)を、家の電波の強さとテレビの台数に合わせて切り替えることです。上げれば上げるほど映りが良くなるわけではなく、強すぎても弱すぎてもブロックノイズやE202などのエラーの原因になります。
自分で触ってよいのは、室内に置いてあるブースターや、手の届く場所にある電源部まで。屋根の上や屋外、屋根裏の奥にあるブースター本体は、測定器で電波の強さを測りながら調整する必要があるため、業者に任せるのが安全です。調整だけで直れば費用は1万円前後で済むことが多く、本体の交換が必要なら1万5,000円〜4万5,000円程度が目安になります。
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ブースターの調整でできること
テレビ用のブースターは、アンテナで受けた電波を増幅して、ケーブルの長さや分配器で弱くなった分を補う機器です。戸建てでよく使われる屋外用ブースターは、屋根の上や屋根裏に付ける「増幅部(本体)」と、室内のコンセントにつなぐ「電源部」に分かれていて、調整用のつまみやスイッチは増幅部の側に付いているのが一般的です。
調整できる項目は機種によって違いますが、主なものは次のとおりです。
| 調整する項目 | 何をするものか | 付いている機種の例 |
|---|---|---|
| 利得(ゲイン)の調整 | 電波を増やす量を変える。つまみで細かく変えるタイプと、スイッチで段階を切り替えるタイプがある | UHF(地デジ)用・UHFとBS・CSの共用ブースター |
| 入力ATT(アッテネーター)の切り替え | ブースターに入る電波が強すぎるときに、増幅する前に弱める | 送信所に近い地域でも使えるようにした機種 |
| 電界(電波の強さ)の切り替え | 「強・中電界用」「中・弱電界用」などの区分を選ぶ | 地デジとBS・CSをまとめて増幅するタイプなど |
| BS・CS帯の利得やチルトの切り替え | 衛星放送の帯域だけ増幅量や周波数ごとのバランスを変える | BS・CS(4K8K対応を含む)を増幅する機種 |
| 自動利得調整 | 入ってくる電波に合わせてブースターが自動で増幅量を合わせる | 自動調整機能付きの機種(手動のつまみがないこともある) |
たとえばマスプロ電工のBS・CS対応ブースターには、入力レベルを3段階で切り替えるスイッチや、ケーブルを外さずに出力レベルを測れる測定端子を備えた機種があります。DXアンテナにも、増幅部のスイッチで中電界用と中・弱電界用を切り替えられる機種があります。どの項目があるかは型番で決まるので、増幅部や電源部に書かれた型番で、メーカーの取扱説明書を確認するのが出発点です。
「上げれば映る」わけではない理由
ブースターから出ていく電波の強さは、ざっくり言うと「入ってくる電波の強さ+利得」です。ブースターには安定して出せる上限(定格出力)があり、入ってくる電波が強い家で利得を上げすぎると、上限を超えて信号がゆがみ、かえって映りが悪くなります。反対に、テレビの台数が多い家やケーブルが長い家で利得が足りないと、端の部屋のテレビで電波不足になります。
また、総務省の東海総合通信局は、ブースターの利得を過大に設定したり、余分なケーブルを引き回したりすると、増幅した電波が入力側に回り込んで「異常発振」が起きると注意を呼びかけています。発振すると自分の家だけでなく、近所のテレビや携帯電話などの無線通信に妨害を与えることがあります。調整は「必要な分だけ増幅する」のが基本です。
ブースターの調整が必要なサインと切り分け方
映りが悪いときに、原因がブースターの調整なのか、それ以外なのかを見分ける目安を表にまとめました。テレビの「アンテナレベル(受信強度)」の画面を開いて、数値もあわせて確認すると判断しやすくなります。数値の目安はテレビのメーカーや機種で違うので、取扱説明書で確認してください。
| 症状 | 考えられる状態 | 次にすること |
|---|---|---|
| ブースターを付けた・交換した直後から映りが悪い | 利得が家の電波に合っていない(上げすぎ・下げすぎ) | 設置した業者に再調整を頼む |
| アンテナレベルが高いのにブロックノイズが出る | 電波が強すぎる(利得の上げすぎ・ATTが入っていない) | 利得を下げる・ATTを入れる |
| 家の中の遠い部屋のテレビだけ映りが悪い | 分配やケーブルの長さに対して増幅が足りない | 利得を見直す・配線を点検する |
| 地デジは映るがBS・CSだけ不安定(またはその逆) | 帯域ごとの利得の設定が合っていない | 帯域ごとの調整を見直す |
| ある日突然、特定のチャンネルだけ映らない | ブースターの発振や故障の可能性 | 早めに業者に点検を頼む |
| 家じゅうのテレビが同時に映らない | 電源部の故障・過電流・ショートの可能性(調整の問題ではないことが多い) | 電源部のランプを確認する |
アンテナレベルが高すぎる場合の症状や対処はアンテナレベルが高すぎるとどうなる?映らない原因と対処法・修理費用で詳しく解説しています。表のいちばん下のように、家じゅうのテレビが一度に映らなくなった場合は、つまみの位置よりも電源部やケーブルの異常を先に疑いましょう。
室内・屋根裏のブースターで自分で確認できること
安全に手が届く場所にあるブースターなら、次の順番で確認できます。作業の前に、今のアンテナレベルの数値と、症状が出ているチャンネルをメモしておくと、良くなったか悪くなったかが分かりやすくなります。
- 増幅部と電源部の型番を控え、メーカーの取扱説明書で調整できる項目と、つまみやスイッチの位置を確認する
- 今のつまみやスイッチの位置をスマホで撮影しておく(元に戻せるようにするため)
- ブースターを付けた時期や、テレビの台数を変えた時期と、症状が出始めた時期が重なっていないか思い出す
- 取扱説明書の手順に沿って、つまみやスイッチを一段階だけ動かす
- テレビのアンテナレベルの画面と映りを確認し、良くならなければ撮影した位置に戻す
何段階も一度に動かすと、どこで良くなったのか分からなくなります。少し動かしては確認する、を繰り返してください。ケーブルの抜き差しをするときは、電源部のプラグをコンセントから抜いてから行います。
屋根の上・屋外のブースターは自分で触らない
屋外用ブースターの多くは、アンテナのマスト(支柱)や屋根裏の奥、外壁の高い位置に付いています。はしごや屋根に上っての作業は転落の危険が大きく、雨の日や雷が鳴っているときはなおさらです。また、テレビのアンテナレベル表示だけでは「ブースターに入る電波」と「ブースターから出る電波」を分けて測れないため、正しい位置に合わせるには測定器が必要です。手の届かない場所にあるブースターは、業者に調整を頼みましょう。
マンション・アパートの共用ブースターは管理会社へ
集合住宅では、屋上のアンテナや共用部のブースターは建物の設備です。住んでいる人が勝手に調整すると、ほかの部屋の映りにも影響します。ほかの部屋でも同じ症状が出ていそうなら、管理会社や大家さんに連絡してください。
調整しても直らないときに考えられること
つまみやスイッチを見直しても映りが良くならない場合は、調整ではなく機器や配線の不具合が原因になっていることがあります。
ブースター本体の劣化・故障
ブースターは屋外で雨風や温度の変化を受け続けるため、長く使うと増幅が不安定になります。寿命の目安は一般に10年前後とされ、落雷のあとに急に壊れることもあります。劣化のサインや交換の目安はテレビのブースターの寿命は何年?故障のサインと交換費用を解説にまとめています。
電源部の故障
電源部のランプが消えている、いつもと違う色で光っているという場合は、増幅部に電気が届いておらず、つまみをいくら動かしても変わりません。電源部だけ交換すれば直るケースと、本体ごと見直したほうがよいケースの違いはブースター電源部の故障時に電源部だけ交換可能?プロへの依頼が必要な理由で解説しています。
アンテナの向き・ケーブル・分配器の不具合
台風や強風でアンテナの向きがずれた、屋外のケーブルが傷んで雨水が入った、分配器が古くなった、といった場合も、ブースターの調整では直りません。ブースターは入ってきた電波を増やすだけなので、元の電波が乱れていれば乱れたまま増幅されます。どこに原因があるかは、アンテナの直下やブースターの前後、各部屋の端子で電波を測って絞り込む必要があります。
ブースターの調整を業者に頼むときの費用相場
費用は、調整だけで済むか、部品の交換が必要かで変わります。下の表は、アンテナ工事業者の料金案内など複数の情報をもとにした一般的な目安で、業者や家の状況によって金額は変わります。
| 作業の内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 受信状態の点検・ブースターの利得調整 | 5,000円〜15,000円程度 |
| アンテナの向き調整 | 5,000円〜20,000円程度 |
| 電源部だけの交換 | 8,000円〜18,000円程度 |
| ブースターの交換(本体+電源部) | 15,000円〜45,000円程度 |
| 屋根の上での作業が必要な場合の追加 | 10,000円〜25,000円程度かかることがある |
ブースターを交換した場合は、新しい機器を家の電波に合わせて調整するところまでが作業に含まれるのが普通です。BS・CSも増幅するタイプや4K8K放送に対応したタイプは、本体の価格が高めになります。見積もりでは、出張費・部品代・高所作業費が総額に入っているか、見積もり後に追加料金がかかる条件があるかを確認しておきましょう。
なお、台風・強風・雪・落雷などの自然災害でブースターやアンテナが壊れた場合は、加入している火災保険の補償の対象になることがあります。対象になるかどうかは契約内容によって違い、経年劣化による故障は対象外です。申請は契約者本人が保険会社に行います。
※工事後のチャンネル設定まで対応
ブースターの調整でよくある質問
利得のつまみは最大にしておけば安心ですか?
いいえ。電波が十分な家で最大にすると、強すぎてブロックノイズや映らない原因になり、発振して近所の電波に妨害を与えるおそれもあります。必要な分だけ増幅するのが正しい使い方です。
ブースターの電源を切って様子を見てもいいですか?
多くのブースターは電源が切れると電波がほとんど通らなくなるため、テレビが映らなくなるのが普通です。電源を切っても調整の代わりにはなりません。ただし、総務省の関東総合通信局は、ある日突然特定のチャンネルが映らなくなったときに、ブースターの発振を見分ける方法の一つとして電源の入り切りを案内しています。その場合も、ケーブルの抜き差しは電源部のプラグを抜いてから行いましょう。
自動調整のブースターなら調整はいらないですか?
自動利得調整の機種は、入ってくる電波に合わせて増幅量を合わせてくれるので、手で調整する場面は少なくなります。ただし、アンテナの向きのずれやケーブルの劣化、本体の故障までは直せません。自動調整の機種でも映りが悪い場合は、ブースター以外の原因を疑いましょう。
まとめ
ブースターの調整は、利得やATTを家の電波の強さとテレビの台数に合わせることです。上げすぎても下げすぎても映りが悪くなるので、「必要な分だけ増幅する」のが基本になります。
- 調整できる項目(利得・ATT・電界の切り替え・BS・CS帯の調整・自動調整)は機種で違うので、型番で取扱説明書を確認する
- 自分で触ってよいのは室内や手の届く場所のブースターまで。一段階ずつ動かして、元の位置を記録しておく
- 屋根の上や屋外、集合住宅の共用ブースターは自分で調整しない
- 家じゅうのテレビが同時に映らないときや、調整しても直らないときは、電源部・本体・ケーブル・アンテナの不具合を疑う
- 費用の目安は、点検と調整で5,000円〜15,000円程度、ブースター交換で15,000円〜45,000円程度
どこを調整すればよいか分からない、屋根の上のブースターで手が届かないという場合は、電波を測りながら調整してくれる業者に相談しましょう。見積もりを見てから依頼するかどうかを決められます。
※見積もりだけでもOK








